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biohazard

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biohazard is a short novelization of the 2002 Resident Evil remake, written by Benny Matsuyama. Due to the status of Studio BentStuff and the Famitsu-Capcom partnership, Benny Matsuyama's works are to be accepted as part of the mainstream canon.

Transcript



もう二度と、 夜は明けないのではないか――。
S.T.A.R.S.のそんな絶望的な戦いは、 射し込む曙光とともに終焉を迎えた。 アークレイ山地の稜線から顔をのぞかせた太陽が霧を散らすように、 醒めることのない悪夢も幻のように消えていく。
長い、 あまりにも長い恐怖の一夜は終わったのだ。 生き延びることができた――陰惨で狂気に満ちた事件の舞台となった洋館が眼下に遠ざかっていくのを眺めながら、 クリス・レッドフィールドはようやくそれを実感した。
生き残った者たちを載せ、 ブラッド・ヴィッカーズが操縦するへりは上昇を続ける。 清浄な朝の陽光を浴びて、 高く――こびりついた粘つく闇を振り落とすように。



Epilogue

もう二度と、 夜は明けないのではないか――。
  S.T.A.R.S.のそんな絶望的な戦いは、 射し込む曙光とともに終焉を迎えた。
  アークレイ山地の稜線から顔をのぞかせた太陽が霧を散らすように、 醒めることのない悪夢も幻のように消えていく。
  長い、 あまりにも長い恐怖の一夜は終わったのだ。 生き延びることができた――陰惨で狂気に満ちた事件の舞台となった洋館が眼下に遠ざかっていくのを眺めながら、 クリス・レッドフィールドはようやくそれを実感した。
  生き残った者たちをせ、 ブラッド・ヴィッカーズが操縦するヘリは上昇を続ける。 清浄な朝の陽光を浴びて、 高く――こびりついた粘つく闇を振り落とすように。
  ヘリが充分な高度に達したところで、 時は至る。
  大気を震わす轟音とともに、 館と、 それに伴う施設すべてを飲み込む炎と爆風が、 まだそこに蠢いていたであろう悪夢の残りかすを跡形もなく吹き飛ばした。 腐敗したゾンビになり果てたものたちも、 人の悪意が形となったような生物兵器の数々も、 そしてそれらの根源であったt−ウィルスも……。
  ラクーンの大森林に噴き上がった爆炎が、 何もかもを破壊し、 焼き尽くす。



  1998年7月24日に発生し、 翌25日未明に一応の決着を見た二重遭難事件――のちに ”洋館事件” と呼ばれるこの惨劇で、 ラクーン市警が誇るエリート特殊部隊S.T.A.R.S.は壊滅的な打撃を受けた。
ラクーンシティへと生還したのはわずかに5名。 失に消息を絶っていたブラヴォーチームに至っては、 新人隊員のレベッカ・チェンバースを除いて生存者は確認されていない。 また、 本件への作為的な関与が指摘されているS.T.A.R.S.隊長アルバート・ウェスカーについても、 生存の可能性は限りなく低いと見られている。



次第に強まる朝日に向かって、 ヘリは生物災害の跡地から飛び去っていく。 平穏な日常が待っているはずのラクーンシティへ。 ”生” の世界へ。
過酷な夜をくぐり抜けた者たちに、 ローターの轟音に包まれたひとときの安息が訪れる。
ジル・バレンタインは長く続いた緊張を解き、 クリスの肩に頭を預けて吸い込まれるように眠りに落ちた。
とうに限界を越えていたレベッカは、座席に模になって静かな寝息を立てている。
バリー・バートンはこの時も、 酷使した愛用のマグナムの点検に余念がない。 それが彼の、 すり減った神経を癒すいつもの儀式だった。
クリスは機内を満たす朝の光の中で、 体験した事件の闇を見つめていた。 どんな光も届かない、 深い深い底なしの暗黒……自分たちが属するS.T.A.R.S.もまた、 その闇と無関係ではなかった。 すべての解決には、 きっとまだ想像以上の困難が待ち受けているだろう。 疲弊した肉体に、 巨悪へと立ち向から覚悟はこたえるものだった。
――俺たちは、 それをやらなくてはならない。 生き残った者の責務として。
しかし、 せめて今だけは安らぎを――ジルの、 普段は見せることのない無防備な寝顔を見つめ、 預けられた身体の軽さに彼女がやり遂げたことへの敬意を抱いてクリスは願う。 街への帰投が延び、 この穏やかな時間が少しでも長く続けばいいと……。
しかし――。
彼らはまだ、 気づいていない。
この恐るべき事件が、 これよりラクーンシティを襲う大災害の序章に過ぎないということに。
S.T.A.R.S.に関わった者たちの運命を激変させる巨大なうねりが、 ゆっくりと、 しかし着実に街を呑み込んでいく。
本当の夜明けは、 未だ訪れてはいない。

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