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CLUB96 interview with Kōta Suzuki (2013)

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――まずは、『バイオハザード リベレーションズ』にどのように関わられたかをお聞かせください。

鈴木幸太氏(以下、鈴木):作曲をするコンポーザーをしています。最近は『バイオハザード』シリーズに関わっているのですが、『5』、『ザ マーセナリーズ3D』、 そして3DS版の『リベレーションズ』、『6』を経て今に至ります。今回の『アンベールドエディション』では、基本的には3DS版の音楽を使用した部分が多いのですが、一部追加になった曲の制作や、全体的な音楽監修を担当しています。

――追加された曲はどのような曲なのでしょうか。

鈴木:追加曲自体は小さなジングルみたいなものだったりするのですが、ユーザーさんから”レイドモード”で、本編のこの曲を聴きながらプレイしたかったという意見をいただきまして、そういう要望も盛り込んでおります。楽曲全体としてはよりリッチにしています。3DS版はスピーカーから聴き取れるよう、音量の大小の幅をあまり大きくしないようにしたり、ヘッドホンでプレイすることを踏まえて、携帯機で鳴らすための調整をしていました。今回は据え置き機ということで、サラウンドセットでも遊ぶ方のことも想定して、一部のBGMをサラウンド化して音質の向上を図っています。

――携帯機ですと容量の制限もあったと思うのですが、その点はいかがでしたか?

鈴木:3DSはスペックも高いですから、そこまで切り詰める必要はなかったですね。ストリーミングをふんだんに使ったので、自分の表現したいことを最大限引き出すことができました。今回の『アンベールドエディション』では、サラウンドになったり、音質も上げていますから当然容量は増えるのですけど、据え置き機のボリュームであれば耐えられますので。

――なるほど、その場にいるような臨場感がより強調されるのですね。

鈴木:そうですね、曲自体でも場面を象徴する楽器を使ったりと工夫しています。たとえばホールではパイプオルガンを使ってその場の雰囲気に合うようにしたりとか。なるべく周囲の景色と溶け合うような曲作りを心がけました。『リベレーションズ』全体としては、ピアノをよく使っていますね。海とかサスペンスというところで連想する楽器として、最初に浮かんだのがピアノだったんです。『バイオハザード』シリーズではピアノの使い方を間違えると、曲がキレイすぎちゃったりするので、うまくバランスを取りながら入れ込むようにしています。e-カプコン限定特典のアレンジトラックCDでは、よりアコースティックな雰囲気のアレンジを行っていますので、さらにピアノがフィーチャーされていますよ。

――そのe-カプコン限定特典のアレンジトラックについて詳しくお聞かせください。

鈴木:ゲームの中では効果音や声と合わさって作られる総合芸術としての音楽を意識していますが、曲だけで聞く時は当然効果音とかはありませんので、音楽だけで魅せなくてはいけないと。音楽だけで聴いてかっこいいなと思ってもらえるようにアレンジしています。ピアノも前面に押し出していて、難しいフレーズを連発したりと技巧的なところがあったりして聴き応えのあるものになりました。音楽好きの方でなくても、この特典がついてよかったなと思ってもらえるように作りました。楽器編成としては、本編の曲はシンセサイザーの音を混ぜたりするのですけど、アレンジの方では電子楽器は使っていなくて、アコースティックな楽器で構成しています。ですので、本編とはちょっと違った雰囲気を味わっていただけるかなと思います。最後には、アレンジの原曲のメドレーも入っていますので、そちらと聴き比べるのもおもしろいと思いますよ。

――ところで、本編を含め、曲名はどのように付けられているのでしょうか。

鈴木:まず第一には、曲のタイトルを見てゲームのシーンが想像できないような名前は付けないようにしています。ただ、タイトル画面の曲なんかは、『タイトルメニュー』とかだと味気ないですから、曲のイメージで『Deep Sea』なんて名前を付けたりしていますね。英語で考えなくてはいけないのでちょっと大変ですけど(笑)。

――『リベレーションズ』でお気に入りの曲はありますか?

鈴木:やはりテーマ曲の『Revelations』という曲ですね。こちらは、前回までのあらすじがチャプターの冒頭に入るところで毎回流れる曲なんですね。これはすごくこだわって作りましたし、気に入っています。作った経緯としては、『リベレーションズ』の制作にあたり、いろいろな海外ドラマの演出を研究していくうちに、どのドラマにもお決まりの曲があることに気付いたんですよね。なので、『リベレーションズ』にもそういう毎回流れてみんなが気に入ってくれる曲が作れればいいなと。

――どのくらいドラマをご覧になったんですか?

鈴木:6~7作くらいは観たでしょうか。中にはけっこうハマってしまって、シーズン3、4と観た作品もあります。『フリンジ』とか、定番の『24』や『プリズンブレイク』、それと『LOST』は気に入って観ていましたね。

――ハードなアクションものを中心に観られていたんですね。

鈴木:やっぱり『バイオ』はホラーなので、ダークな感じのものをチョイスしました。

――ところで、鈴木さんは曲を作るのがとても早いとお伺いしたのですが、どんな風に作られているのですか? たとえば、”メロディが降りてくる”とか……。

鈴木:降りてくる場合と、捻り出す場合のふたつがありますね。大体は降りてくるときのほうがいい曲ができることが多いですね。イマジネーションを高める努力はするようにはしていますが、なかなか降りてこないときは自分の持っている引出しの中から、理論的に構成していく形ですね。

――どういうときに降りてきやすいですか?

鈴木:直感なのでわからないですが、基本的には鍵盤をいじりながら作るので弾いているうちに「おっ」と思いつくような感じですね。ときどき鼻歌から思いつくこともありますけど(笑)。

――じつは、加藤サウンドディレクターからの目撃証言があるのですが……。「鈴木くんのフフフーン♪って鼻歌がフロアに響くと、曲が降臨したんだなって分かるんですよ。で、その日の夕方にもう形になってるんです。彼が天才だなって思ったのはそれだけじゃなくて、駅のホームにいっしょにいたときに、スマホに向かってフ~ン♪って歌いだしたんです。ストレスでどうかしちゃったのかと思って、どうしたのって聞いたら、今すごくいいメロディが浮かんだので忘れないうちにボイスメモに残しておきましたって言うんですよ」とのことですが……。

鈴木:いやーそれは(笑)。ふだんヘッドホンをしているので、ときどき気づかずに鼻歌を歌っているのかもしれません。じつは、何年か前までは、ディレクターがこう望んでいるからこういう楽器を使って、こういう風に作ってと考えていたんですけど、あるときから直感型の作曲というのもいいなあと思い始めたんです。ディレクターの求めている方向で、自分なりに思いつくことが大事かな、と。オーダーする側が何を求めているかを頭に叩き込んで、その上で発想力を高めるというか。

――反対に、理論的に作る場合はどんな作り方をされるのですか?

鈴木:研究と分析というか、ふだんからいろんな曲を聴いて、どうしたらこんな聴こえ方になるのかとかを考えています。かっこいいなと思ったら、なんでかっこいいと思うのかと。こういう楽器を使っているからかっこいいのか、こういう曲の展開をするからかっこいいのかとか。職業病みたいなものかもしれませんけど。そこで、「ここはあの曲のこういう部分を取り入れてみようかな」と作っています。

――ふだんどんな曲を聴かれるのですか?

鈴木:聴くジャンルは幅広く、気に入れば何でも聴きますね。作曲においては、もともと音楽大学時代の楽典的な部分が自分のベースとなっているので、それを基に積み上げているという感じですね。僕は音楽を始めたのが遅くて、高校生ぐらいから楽器をいじりはじめたので、クラシックを深くやっているというわけではないんですけど。音楽大学でも、作曲でなくて声楽をやっていたんです。

――だから鼻歌でも声が通っちゃうわけですね。そして、高校から楽器を始められたということですが、これから音楽をやってみたいという人には勇気の出るお話ですね。

鈴木:そうですね。ありきたりな言葉かもしれませんが、何かを始めるのに遅いなんてことはないと思います。カプコンのサウンドチームはいろんな経歴の方がいて、最初から音楽をやっていたわけではなかったりするんです。研究をしていたり、経済をやっていたり……。でも、みんな音楽、ゲームが好きっていうのがあると思います。

――鈴木さんがカプコンに入社されたきっかけは何だったのですか。

鈴木:もともとゲームが好きだったんですけど、プレイステーション2が出てきた辺りから、生楽器を使った音楽が増えて、ゲーム音楽の質が上がってきていて、おもしろそうだなって感じたんですね。それを仕事にできたらといいなと思ったのがきっかけです。実際、今仕事をしていても、日々求められるものや表現できることっていうのが進化していますので、やりがいがありますね。”0、1″を生み出すところというか、どういう音楽を当てようかと考えているときは大変ですが。『リベレーションズ』のテーマ曲が生まれるまでにも時間がかかりましたし。でも、そこを乗り越えると楽しくなるといった感じですね。あとは、最後のゲームの締め切り前ですとか、チェックなどの詰めも大変ではありますけど。

――では最後に、ユーザーの皆さんへメッセージをお願いします。

鈴木:アレンジトラックは、ヴェルトロという音楽ユニットという体で作っていて、僕ともうひとりのアレンジャーが参加しています。クラシカルな楽曲制作に長けているメンバーですので、技巧的な響きにも注目して聴いていただきたいですね。ゲームの中でゴージャスに奏でていた曲を、アレンジではピアノを軸に少ない楽器編成で曲の違った側面の良さを引き出すようにしています。たとえば、ピアノ2台でやるデュオでのアレンジをしていたりと、本編とは変わった味わいが楽しめると思います。ぜひ、皆さんに聴いていただけたらなと思います。

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