Fandom

Resident Evil Wiki

CLUB96 interview with Yasuhiro Seto

14,443articles on
this wiki
Add New Page
Talk0 Share

Ad blocker interference detected!


Wikia is a free-to-use site that makes money from advertising. We have a modified experience for viewers using ad blockers

Wikia is not accessible if you’ve made further modifications. Remove the custom ad blocker rule(s) and the page will load as expected.

CLUB96 interviewed Yasuhiro Seto in 2012 as volume 25 and 26 of their "Creator's Lounge" series of interviews.

Transcript

――Presently, the two "Chronicles" games have been converted to HD. How do you feel?

瀬戸:I'm happy.
以前からHD化の話はあったんですけど、オリジナル版からの移植は難しいと思われていたので。でも、プレイステーションMoveというぴったりのユニットのおかげで、こうしてPS3でも遊べるようになりました。
ユーザーさんの層が広がるのが、一番嬉しいことですね。

――"Umbrella Chronicles" (hereafter, "Ankuro") was released in 2007; "Darkside Chronicles" (hereafter, "Dakuro") was released in 2009.

瀬戸:That's right.今見ても、画面がキレイだなと思います。
『ダークロ』の開発が終わってから大分経っていますが、僕自身はずっと『バイオ』シリーズにどっぷりで。先日発売された『オペレーション・ラクーンシティ』(以下、『ORC』)に関わっていたんです。とくに『バイオ2』の世界は、『アンクロ』、『ダークロ』、『ORC』の全部に出てきているので、全然時間が経ったように感じないんですよね(笑)。5~6年、ラクーンシティの悪夢の中にいる感じではあります。
リッカーなんかは常に出てきていますから、長い付き合いになっています(笑)。『アンクロ』のリッカーが、少し体が小さめなんですが、『ダークロ』ではすごい迫力を出して。『ORC』では、壁に張り付いた状態からもちゃんと攻撃するようにワイルドになっていたり。そんなこんなで、僕の中ではずっと続いてきているもの、なんですよね。

―リッカーにも歴史ありですね。

瀬戸:『アンクロ』のリッカーは、元々『アウトブレイク』のリッカーをかなり参考にして作っていたんです。でも、『バイオ2』をやっていたプレイヤーからすると、「リッカーはもっとたくましい感じだよ」という声があったんです。それで『ダークロ』は、『バイオ2』の世界観にこだわったので、筋骨隆々な力強いリッカーにしたんですよ。
対して、『ORC』はTPSなので、もっとAIを持ったリッカーになっています。壁を歩いて近づいてきたりとか。その点で言うと『クロニクルズ』の敵のコントロールはシンプルでよかったなあ、と。プレイヤーにダメージを与えたら、何秒間攻撃をしない、とかね。

~開発秘話~

――『アンクロ』の開発当時のエピソードをお願いします。

瀬戸:『アンクロ』に関しては、当時、僕自身はいろいろゲームを作り続けていましたが、シナリオを書いたことはなかったんですよね。そこへ川田プロデューサーから、『バイオ』をお祭りゲーム的に賑やかに盛り上げたいという提案があって。じゃあ、ただキャラクターが暴れまわるだけでなく、年代的にすべての『バイオ』の歴史をフィードバックして語りなおすようなものが作れたらなと思ったんです。
そのときは、川田Pとそんなにがっぷり仕事をしていなかったので、お互いの能力・特性を探り合いって感じだったんですよね。僕が「ずっとゲームのシナリオを書きたいと思っていた」と話したら、川田Pに「書きたいんだったら、書いてみてくださいよ」って言われて。それで、『バイオ』作品の間を繋ぐときに、『バイオ1』とか、『バイオ2』とかの世界がある中で、裏の話があったら面白いよねっていうところを書いてみたんです。このとき、この人はこんなことをしていたよ、というような。それが「意外といいんじゃないの」ってことになりまして。素材や参考になるものは社内に蓄積されていますしね。
そうして制作を進めていったわけですが、この裏の話をブリッジとして作品を繋げていく、ということが『クロニクルズ』という名前に込められたのかなと思います。

――なるほど、そういう経緯があったんですね。

瀬戸:『アンクロ』は、ウェスカーという『バイオ』シリーズのキーマンが語るということにして、それぞれの作品の世界を呼び起させる形にしました。さらに、アンブレラというひとつの企業の興亡記、アンブレラがなぜ滅んだかという話を加えると面白いのでは、ということで、オリジナル部分を含めて形にするのが、制作していて面白かったですね。でも、扱うのはそれぞれファンの思い入れが深い作品ばかりなので、黒歴史になっちゃうのはいやだなぁと気を遣いました。洋画とかで言うと『バットマン』などをいろんな監督が作り直しているけれど、「このバットマン最悪だよね」なんて言われないように、いいところを残すけど新しいところは新しいものにする、そんな風に作っていると思うんです。僕、『ダークナイト』がめっちゃ好きなんですよ。やり方がうまくて、さらに面白くしていますよね。『アンクロ』も、なるべくユーザーさんが「この辺イヤだなあ」と思わないように、「ここはOKだよね」というところを手探りでやっていました。今でこそ、『バイオ』の裏の話を書いちゃいましたよ、と言えますが、当時はこれが受け入れられるか危惧していました。ウェスカーにこんなことをさせて、大丈夫かなと。結局、アンブレラが滅びる話は全部新作で作っちゃったんですけど、多分ここで自分が書かなかったら誰も書かないだろうなという予想もしていたので。それだったら、チャンスがあるのだから書いてしまえ、と。書くと自分の素が出ちゃうけど……。それが、果たして受け入れられるか心配だったんですが、『アンクロ』で吹っ切れましたね。やるしかないと。いちユーザーとして”俺の考えた『バイオ』のストーリー”っていうのがあったとしても、実際にゲームとして表現するのは難しいわけじゃないですか。それをたまたま、何の運命かわかりませんが、できる立場にいるのだから、全力を尽くして話を考えてみようかなと。

――What do you think was Producer Kawata's reaction?

瀬戸:ぶっちゃけ言うと、川田Pには良好だったんじゃないですかね。
全部は理解してくれなかったかもしれないけど、シナリオが上がっていくうちに、「ああ、瀬戸さんこういうことやりたかったのね」というのはあったかと思います。

――そういえば、お二人は昔からよくご存知の仲かと思っていましたが……。

瀬戸:別に、仲悪いわけじゃないですよ(笑)。仲はいいです。お互い、経歴は長いですから最初から知り合っていたわけではないということで。
川田Pは、ゲームキューブのリメイク『バイオ』のときに、図書室の背景を作っていたそうです。『アンクロ』制作時、彼はプロデューサーになっていたわけですが、図書室でヨーンと対決する場面のために、背景を作り直すことになったんですよ。それで昔のデータを開発スタッフに見てもらったんですね。
リメイク『バイオ』は、もともとプリレンダリング前提で制作していたので、データが重いんです。だからフルポリゴンでの制作を担当したスタッフはかなり苦労していました。でも、図書室は結構イイ感じになったので、よかったです。川田P本人も、自分が作った部屋が再構築されるというのが面白かったみたいですよ。

――そうだったんですね。今回の『HDセレクション』も、HD化という点では再構築になりますね。

瀬戸:HD化の作業もそうですが、プレイステーションMoveへの対応やランキングなどの新しい要素も入ってきています。それに、『アンクロ』と『ダークロ』の2作品入っていますから、ふたつの差や変化もぜひ見ていただきたいですね。ストーリーもそれぞれテイストを違えて作っていますので。
『アンクロ』はアンブレラの社史というか、公の話、事実が淡々と語られていきます。S.T.A.R.S.という組織と、アンブレラという企業の戦い。そこに、アンブレラを裏切ったウェスカーという存在がいて。ホラーの事件を、組織と組織の戦いという側面からフラットに見ているんですね。
それに対して、『ダークロ』の方は人間がゾンビなどの困難にぶつかったとき、どう生きるのかを描いています。サバイバルの中で出る人間性って、ドラマになると思うんです。生き残るっていうこと、人間としてどう立ち向かうかということを”ダークサイド”として集約しています。
『ダークロ』は、どちらかというと事件に巻き込まれた人たちの視点で見ていて。『コード:ベロニカ』の話だと、ロックフォート島に無理やり連れていかれた人々とか、『2』だとゾンビ溢れる街に来なくてはいけなかった警官と女子大生と少女の話というように、すごく一般人として身近なところをやりたかったんですね。
あとは、ゲームとしては『ダークロ』のシェイクカメラだったり、2作品の難度の違いも感じていただければと思います。何よりも、両方とも二人で遊べることを前提して作っていますので、友達や家族、カップルで楽しんでいただければと思います。

――How was Dakuro's production at the time?

瀬戸:ゲームの制作ってどんどん規模が大きくなってきていて、『ダークロ』も相当大変でした。でもその後の『オペレーション・ラクーンシティ』がまた上回ってくれましたね(笑)。
『ダークロ』は自由に動き回れないので、今度は自由にラクーンシティを走り回れるところが嬉しかったですけど。
とにかく、英語が不自由なのにカナダの開発チームとのコミュニケーションが必要で、そこが大変でしたね。

――『クロニクルズ』2作品は、プレイヤーが移動に関与しないレール式ですからね。

瀬戸:『アンクロ』オリジナル版の制作時は、Wiiというハードが登場して、『バイオ』で何をやろうかとなったとき、「ガンシューティングって当たり前すぎるよね」って言っていたんです。でも、逆に当たり前すぎて、意外とほかのところでもあまり作られていなくて。じゃあ、ガンシューティングをやってみましょうと。
でも『バイオ』でやるのだったら、自分で道を進んでいくことはできないけれど、恐怖をちゃんと感じられるところまで持っていこうというテーマがありました。
ただ、『バイオ』って自分で逃げられるからホラー感があるんだよねって思うところもあったので、うまく”恐怖”を出せるのかなと……。実際やってみると、レール式のガンシューティングのカメラワークってホラーの演出に合っていて。
カメラワークが決まっていると、ここで敵がバーンと出てくるとか、一瞬影が走るなんていう演出ができます。これがFPSだとカメラが自由に動かせちゃうので、”役者”がフレームの外に控えることができないんですよね。『クロニクルズ』シリーズは、そういったカメラでの演出で、恐怖感をうまく入れられたと思います。
『アンクロ』のときは、最初かなり凝ったものを作っていたんですが、ガンシューティングらしさが薄れてしまうことも考えて、あえて抑えたところもあったんです。そこで『ダークロ』では、もっと突き詰めてやりましょうと。
テストプレイでモニターしてもらったときも、やはりカメラ演出が臨場感あっていいという人もいるけれど、嫌な人もいるかもしれないという回答をいただきましたね。それでも川田Pと話し合って、ホラー感を出すために「腹を決めよう」と。
以前から、同じハードで映像面でよりよくするにはカメラの演出を上げないとクオリティを上げられないよね、と話していたんです。『ダークロ』の目標に、”前作を遥かに超えるグラフィック”というのもあったので。ホラーの緊迫感、緊張感を出すことは『ダークロ』で一番気を遣ったところですが、カメラが動く分、当たり判定を大きくしたりしてやりやすいように作りました。
さらに言うと、『アンクロ』では、いっしょに行動するパートナーキャラクターがムービー以外では映らないんですけど、『ダークロ』ではちゃんと登場します。自分の視界にパートナーが映っていて、お尻が見えたり、こっち振り向いて合図してくれたり。やはりホラーには、演出として怖がったり警戒する人が絶対必要だと思いますね。

――お尻という単語が出ましたが……、瀬戸さんはクレアのお尻がお気に入りという噂も耳にしたのですが。

瀬戸:いや、クレアだけじゃなくて、女性のお尻はみんな気に入ってます!(笑)
カプコンでは、見えるところでなるべくキャラの魅力を出しましょうということは、皆、制作するうちに染みついていると思うんです。ゲームシステムとして後姿しか見えないのに、お尻がぺったんこだったり、見えないのに胸のほうに重点を置くよりはお尻でしょう、という考え方があると思うんです。
ちょっと語弊があるかもしれませんけど、つまり、かっこいいキャラはかっこよく、渋いキャラは渋く、というように魅力を最大限に発揮させるための手法のひとつであって、一部のディティールに偏ってこだわっているわけではないです。そのキャラらしさを出すための手段というか。
僕に限らず、カプコンのスタッフって、”差別化”をすごく意識していると思うんですよ。キャラがいっぱい登場しても、テーマカラーを丁寧に分けていたりとか。みんなキャラ被りって大嫌いなんです(笑)。『ストリートファイター2』のころから、全体的に染みわたっているのかもしれませんね。違うチームでも同じビルで開発していますから、考えが流布していくというか。「これ差別化できていないんじゃないの」っていうように、”差別化”って言葉が社内ではよく使われていますね。

――『バイオ』も印象が似通っているキャラクターというのはないように思いますが。

瀬戸:『バイオ』シリーズは、いろんな人が物語を作っているので、もしかしたら似てると感じられるキャラもいるかもしれませんが……。後から作るにつれ、被らないようにするのは大変ですね。ユーザーさんにも「○○に似てるじゃないか」って言われちゃうので、いつも意識しています。
『クロニクルズ』シリーズは、新キャラクターはあまり多くないのでよかったんですが。『オペレーション・ラクーンシティ』のメインは全員新キャラなので……。でもアンブレラ側だし、マスク着けているので絶対被らないですけど。被っているけど、カブリなし(笑)。

――なるほど!(笑) キャラクターとしては、マヌエラがお気に入りということですが……。

瀬戸:マヌエラはヒロインでありモンスターでもあって、さらにテーマに絡んでいて話を全部まとめて持って行けるように考えました。
ゲームのストーリーって、登場人物が少なくてすぐ覚えられる方が絶対いいと思うんです。ただでさえ両作品は旧キャラクターがたくさん出てきますし。そういう意味でも『クロニクルズ』シリーズの新キャラクターは減らしたんですね。『アンクロ』だったら、セルゲイ大佐に集約させています。
ゲームのシナリオって、たくさんのキャラクターが出るっていうやり方もあると思いますが、シナリオが煩雑化したり一人一人の印象度が低くなってしまうと思うんです。僕としてはキャラクターに強い個性を持たせて、一人に集約させるやり方をしていますね。

――What about Manuela's father, Javier?

瀬戸:ハヴィエはかっこいいですね。本当はもうちょっと登場シーンがあったんですけど……。やっぱりやるのは”ゲーム”なので、いろいろ絞られてきちゃうんですよね。
ただ、たとえ10秒、15秒の登場でも、彼がいなければ物語に深みが出てこないので。そういう役割として、ハヴィエはイイ感じだったと思います。

――The V-Complex creature was quite a shock.

瀬戸:デカいですよね。なんだろうな……アレの後ろに広がる空がきれいだな、と思いました(笑)。

――確かに見上げることが多いですから、背景の南米の空が映り込みますね。

瀬戸:南米を舞台にしたのは、『パブロを殺せ』というコロンビアのお話の本があって、それが衝撃的だったからなんです。ドキュメンタリーなんですけど、凶悪な犯罪組織が家族愛だったり、男女の愛だったりで動くっていうのが面白いところで。それに対してアメリカ政府が介入し、麻薬王を殺すっていう物語なんですね。そういったストーリーをオマージュして、何か作れないかなと思ったんです。
そこで、ウィルスを会社組織が扱うんではなくて、単に娘を守りたいという気持ちに突き動かされた男が、狂気の帝国を作るという話ができたらなと。
実は、『クロニクルズ』シリーズのムービーディレクターをされた権藤秀和監督に、映像部分だけを撮っていただくだけでなく、お話の中身にも参加していただいたんですね。権藤監督も、『パブロを殺せ』をおもしろいですよねっておっしゃっていて。あの世界観を出せたらいいねと、ノリノリでやっていただきました。

――そうだったんですね。ほかにも、お気に入りのエピソードやステージはありますか?

瀬戸:『アンクロ』はエイダがラクーンシティから脱出を図る”瀕死”のチャプターが好きですね。エイダに包帯を巻かせたいなという思いもあって(笑)。エイダが『バイオ2』であんなにダメージを受けて脱出したのであれば、大ケガをしているでしょうと。それなら包帯を巻くしかないと。そんなフェティシュなエイダが一人で脱出するというのがとても好きですね。
そういえば、あまり誰も気づいてくれていないみたいなので自分で言いますが、彼女が『バイオ4』で使っているフックショットは『アンクロ』の中で獲得したもので、それを機に『バイオ4』でも使うようになったという起源を描いているんですよ。

――それは初耳ですね。

瀬戸:もう『アンクロ』の前に『バイオ4』は出ていたので、逆輸入的なことになりますけど。ほかにもいろいろと作品やキャラクターのエピソードは拾っていっていますので、皆さんもぜひ見つけていただければなと思います。
それと、『アンクロ』も『ダークロ』も、ゴキブリを出すのはすごいこだわりましたね。僕、ゴキブリ大嫌いなんですよ。だからこそ絶対出したいという思いはいつもあったんです。川田Pには「アホじゃないの(笑)」って言われるんですけど(笑)。だから下水道を通るステージは気に入ってますね。
カップルで遊んでいるときに、自分としてもゴキブリは嫌いだけど、相手がキャーキャー言う中で「何とかしてやる」って頑張れるみたいな、コミュニケーションも生み出せたらなと思ったんです。

――ホラーならではのコミュニケーションですね。

瀬戸:ホラーって人が死んだり怪物が出たりするのに、なんで観るのかって考えたときに、そこに人間の隠された欲求があるんじゃないかって思うんですよね。怖いもの見たさっていうか。だから、ホントは見たいんじゃないのかなと……ゴキブリも(笑)。

――さすがに、ゴキブリを見たい人は少なそうですが……(笑)。画面にへばりついたところをナイフで倒すのは、ちょっと目を逸らしたくなりますね。苦手な人は手榴弾を投げまくるという話も聞きます。

瀬戸:そういうリアクションを期待していますから!
「これはドットの集まり、ポリゴンで動いているんだよ」って思われるよりは、「これ腐ってる! イヤやわ~」とか言われるような”肌感覚”を出したいと。ワンカメラなので特にね。だから現場で「へばりつかせて! 息ができなくなるくらいに」というような話はしていましたね。
でも、改めて言いますけど、ゴキブリは好きなわけじゃないです(笑)。嫌いなんだけど、見たくないんだけど、ゴキブリのお腹のところのヒダヒダは何個あるんだろうとか、尾毛(びもう)という突起のようなものがどのくらいの長さなのかとか……。嫌いなものだからこそ、何か見たくなるというか(笑)。そういうところが、ホラーにはあるなと思うんですよ。

――並々ならぬこだわりですね……。プレイヤーから恨めしく思われたりしませんか?}

瀬戸:そう思われたらまさに想定通りですね。出現場所に差し掛かって、「ここはもう戦線離脱するから、お願い!」みたいなやりとりがないとね。淡々と敵を倒していくだけじゃ、つまらないかなと思いますし。

――ゲームの中でも、クレアも蜘蛛が苦手というシーンが出てきましたね。

瀬戸:クレアとレオンの絡みは、特に描きたかったところです。

――エイダを疑おうとしないレオンに呆れて、クレアが「男って単純ね」なんて言う場面もありました。

瀬戸:あの辺はユーザーさんからもよかったという声をいただきました。
あんな風に、男性が気が多い一面を、女性にぴしゃりとツッコまれたりするのを見るのは楽しいですね(笑)。

――ゲームの中でも外でも、やりとりが生まれていますね。

瀬戸:That's right.僕には弟がいて、弟夫婦に僕が作ったゲームをあげたりすることもあるんですが、奥さんから「おもしろかった」って言われることがあんまりなくって。
でも、『クロニクルズ』シリーズはすごい遊んでくれたみたいです。弟の方が銃さばきは上手いけど、奥さんの方がアクションコマンドの入力が得意で。コマンド入力のときに、奥さんが「私がやる!」って、弟のコントローラも奪って成功させたりとか(笑)。
そういう分担ができたりしますし、そのご家庭ならではの楽しみ方を見つけていただきたいですね。

――収録された『バイオ』のシリーズ作品についてはいかがですか?

瀬戸:僕はやっぱり初代『バイオ』が好きですね。
もちろん、ずっと『バイオ』をプレイしているので、それぞれの作品に思い入れがあります。

―スピンオフの作品を作る際の難しさというのはありますか?

瀬戸:難しさ……というか、スピンオフでもナンバリングタイトルのファンの人にもプレイしていただきたいし、満足してもらえるものにしたいという気持ちはあります。自分の中では、外伝として割り切って作ってはいないです。もしかしたらこんな展開もあるんじゃないかって思ってもらえるようにこだわっています。
というのも初代『バイオ』が、ホラーゲームらしくエンディングの種類が複数あるということが、好きな理由のひとつなんです。ジルやレベッカが死んじゃうクリアの仕方もある、というのがホラーらしいなと。
ホラー作品で「俺だったら全員守ってやる」とか、「このムカつくヤツは、最初にあの世行きだ」とか、もし自分が作品の中に入れたら……って考えることがあるじゃないですか。それを形にしたのが初代『バイオ』なのかなと。そこでどうやって生き残るかというのに、インタラクティブ性を感じますし。
実は、そこは『ダークロ』も無関係ではなくて。最後の場面でマヌエラの行く末が分かれるじゃないですか。あそこは意識して作っています。プレイヤーが選ぶことで描かれるストーリーは、どっちも本当だと思うし、どっちが正史というのもあまりやりたくないんです。なので、プレイヤー自身に決めてもらおうと。
初代『バイオ』に立ち返ると、いろんな結末の選び方があったなと。たとえば「もうレベッカは置いていこう。ピアノも弾けないし……」という延長で、「俺の『バイオ』のストーリーの中では、レベッカは死んだことになっているんだ」みたいなことだって、あり得るわけです。そういう幅の持たせ方というのは、僕の中で大事にしているところです。
だからマヌエラが消えてしまうエンディングがあってもいいし、逆にそれを観てから彼女を生かすエンディングを、自分の中の本当の結末としてもいいかなと。
任意に選ぶ形ではないですが、ふたつの方向に分岐するというのがやりたかったんですよね。たとえ史実でそのキャラが死ぬとしても、死なないストーリーがあってもいいんじゃないかと。それがただ死なないだけ……でなく、死ななかったらこうだよね、というカチッとした納得できるものに仕上げたいなと思っています。
たとえば、歴史上の人物なんて何回も何回も描かれているじゃないですか。織田信長は死んでいなかったとか、実は女性だったとか。そんな思い描くものをひとつの形にできるのが、クリエイターの面白さなのかなとも思っています。そういう意味でも初代『バイオ』の形はすごく好きで、それに負けないように頑張っていますが、まだまだですね(笑)。

――同じく収録作品の『バイオ2』には、ザッピングシステムがありましたね。

瀬戸:ザッピング、おもしろかったですね。『ダークロ』を作ろうというときに、『バイオ2』と『コード:ベロニカ』の話をもう一度読み直してみたんです。その2作品は、脚本家の杉村升先生のシナリオが原案になっているんですよ。それを各作品のディレクターがゲームに落とし込んでいったんですね。
杉村先生はもう他界されていて、今はそのシナリオの中でしか伺い知れませんが、先生の書いたシナリオって親と子の関係がテーマになっていると思うんですよね。シェリーとバーキン夫妻とか。
初代『バイオ』って、色恋沙汰とか人情の描写があんまりないと思うんです。S.T.A.R.S.とアンブレラというように、組織と悪との戦いというか。
杉村先生が参加された『バイオ2』は、子供であるシェリーが残されて、さらに言うと父親がモンスターになってしまうと。プレイヤーは新米警官と女子大生という一般市民に近い人間の目線で、バーキン親子の関係を垣間見ていきます。『コード:ベロニカ』も共通するところがあって。根源的に似ていると思うんです。やっぱり物書きというか、一人の人間が抱いているテーマって、変わらず同じなんだなあと思いました。
それで、この2作品をチョイスするにあたり、じゃあ『ダークロ』に入れるもうひとつの話って何なんだろうと考えたときに、”親と子の話”というのはループさせるべきだろうと思ったんです。それがマヌエラとハヴィエ親子の話に繋がっています。

――そういう背景があったんですね。『バイオ』ファンはもちろん、親子やお子さんがいる方にもぜひ物語を味わっていただきたいですね。

瀬戸:That's right.『HDセレクション』はワイヤレスコントローラだけでもプレイできますし、友達やカップル、家族みんなで遊んでいただけるといいなと思います。部屋にいて共有できる『バイオ』だと思うので。腕前を問わずにどんな人でもプレイできると思いますし、コミュニケーションを深めていただければと。
『アンクロ』オリジナル版にはなかったランキングや、トロフィー獲得を狙ったりとやり込むこともできますから、ぜひ長く楽しんでください。

――今回、『クロニクルズ』の2作品がHD化されましたが、お気持ちはいかがですか?

瀬戸:僕としては嬉しいですね。
以前からHD化の話はあったんですけど、オリジナル版からの移植は難しいと思われていたので。でも、プレイステーションMoveというぴったりのユニットのおかげで、こうしてPS3でも遊べるようになりました。
ユーザーさんの層が広がるのが、一番嬉しいことですね。

――『アンブレラ・クロニクルズ』(以下、『アンクロ』)は2007年発売、『ダークサイド・クロニクルズ』(以下、『ダークロ』)は2009年に発売された作品ですね。

瀬戸:そうですね。今見ても、画面がキレイだなと思います。
『ダークロ』の開発が終わってから大分経っていますが、僕自身はずっと『バイオ』シリーズにどっぷりで。先日発売された『オペレーション・ラクーンシティ』(以下、『ORC』)に関わっていたんです。とくに『バイオ2』の世界は、『アンクロ』、『ダークロ』、『ORC』の全部に出てきているので、全然時間が経ったように感じないんですよね(笑)。5~6年、ラクーンシティの悪夢の中にいる感じではあります。
リッカーなんかは常に出てきていますから、長い付き合いになっています(笑)。『アンクロ』のリッカーが、少し体が小さめなんですが、『ダークロ』ではすごい迫力を出して。『ORC』では、壁に張り付いた状態からもちゃんと攻撃するようにワイルドになっていたり。そんなこんなで、僕の中ではずっと続いてきているもの、なんですよね。

―リッカーにも歴史ありですね。

瀬戸:『アンクロ』のリッカーは、元々『アウトブレイク』のリッカーをかなり参考にして作っていたんです。でも、『バイオ2』をやっていたプレイヤーからすると、「リッカーはもっとたくましい感じだよ」という声があったんです。それで『ダークロ』は、『バイオ2』の世界観にこだわったので、筋骨隆々な力強いリッカーにしたんですよ。
対して、『ORC』はTPSなので、もっとAIを持ったリッカーになっています。壁を歩いて近づいてきたりとか。その点で言うと『クロニクルズ』の敵のコントロールはシンプルでよかったなあ、と。プレイヤーにダメージを与えたら、何秒間攻撃をしない、とかね。

~開発秘話~

――『アンクロ』の開発当時のエピソードをお願いします。

瀬戸:『アンクロ』に関しては、当時、僕自身はいろいろゲームを作り続けていましたが、シナリオを書いたことはなかったんですよね。そこへ川田プロデューサーから、『バイオ』をお祭りゲーム的に賑やかに盛り上げたいという提案があって。じゃあ、ただキャラクターが暴れまわるだけでなく、年代的にすべての『バイオ』の歴史をフィードバックして語りなおすようなものが作れたらなと思ったんです。
そのときは、川田Pとそんなにがっぷり仕事をしていなかったので、お互いの能力・特性を探り合いって感じだったんですよね。僕が「ずっとゲームのシナリオを書きたいと思っていた」と話したら、川田Pに「書きたいんだったら、書いてみてくださいよ」って言われて。それで、『バイオ』作品の間を繋ぐときに、『バイオ1』とか、『バイオ2』とかの世界がある中で、裏の話があったら面白いよねっていうところを書いてみたんです。このとき、この人はこんなことをしていたよ、というような。それが「意外といいんじゃないの」ってことになりまして。素材や参考になるものは社内に蓄積されていますしね。
そうして制作を進めていったわけですが、この裏の話をブリッジとして作品を繋げていく、ということが『クロニクルズ』という名前に込められたのかなと思います。

――なるほど、そういう経緯があったんですね。

瀬戸:『アンクロ』は、ウェスカーという『バイオ』シリーズのキーマンが語るということにして、それぞれの作品の世界を呼び起させる形にしました。さらに、アンブレラというひとつの企業の興亡記、アンブレラがなぜ滅んだかという話を加えると面白いのでは、ということで、オリジナル部分を含めて形にするのが、制作していて面白かったですね。でも、扱うのはそれぞれファンの思い入れが深い作品ばかりなので、黒歴史になっちゃうのはいやだなぁと気を遣いました。洋画とかで言うと『バットマン』などをいろんな監督が作り直しているけれど、「このバットマン最悪だよね」なんて言われないように、いいところを残すけど新しいところは新しいものにする、そんな風に作っていると思うんです。僕、『ダークナイト』がめっちゃ好きなんですよ。やり方がうまくて、さらに面白くしていますよね。『アンクロ』も、なるべくユーザーさんが「この辺イヤだなあ」と思わないように、「ここはOKだよね」というところを手探りでやっていました。今でこそ、『バイオ』の裏の話を書いちゃいましたよ、と言えますが、当時はこれが受け入れられるか危惧していました。ウェスカーにこんなことをさせて、大丈夫かなと。結局、アンブレラが滅びる話は全部新作で作っちゃったんですけど、多分ここで自分が書かなかったら誰も書かないだろうなという予想もしていたので。それだったら、チャンスがあるのだから書いてしまえ、と。書くと自分の素が出ちゃうけど……。それが、果たして受け入れられるか心配だったんですが、『アンクロ』で吹っ切れましたね。やるしかないと。いちユーザーとして”俺の考えた『バイオ』のストーリー”っていうのがあったとしても、実際にゲームとして表現するのは難しいわけじゃないですか。それをたまたま、何の運命かわかりませんが、できる立場にいるのだから、全力を尽くして話を考えてみようかなと。

――川田プロデューサーの反応はいかがでしたか。

瀬戸:ぶっちゃけ言うと、川田Pには良好だったんじゃないですかね。
全部は理解してくれなかったかもしれないけど、シナリオが上がっていくうちに、「ああ、瀬戸さんこういうことやりたかったのね」というのはあったかと思います。

――そういえば、お二人は昔からよくご存知の仲かと思っていましたが……。

瀬戸:別に、仲悪いわけじゃないですよ(笑)。仲はいいです。お互い、経歴は長いですから最初から知り合っていたわけではないということで。
川田Pは、ゲームキューブのリメイク『バイオ』のときに、図書室の背景を作っていたそうです。『アンクロ』制作時、彼はプロデューサーになっていたわけですが、図書室でヨーンと対決する場面のために、背景を作り直すことになったんですよ。それで昔のデータを開発スタッフに見てもらったんですね。
リメイク『バイオ』は、もともとプリレンダリング前提で制作していたので、データが重いんです。だからフルポリゴンでの制作を担当したスタッフはかなり苦労していました。でも、図書室は結構イイ感じになったので、よかったです。川田P本人も、自分が作った部屋が再構築されるというのが面白かったみたいですよ。

――そうだったんですね。今回の『HDセレクション』も、HD化という点では再構築になりますね。

瀬戸:HD化の作業もそうですが、プレイステーションMoveへの対応やランキングなどの新しい要素も入ってきています。それに、『アンクロ』と『ダークロ』の2作品入っていますから、ふたつの差や変化もぜひ見ていただきたいですね。ストーリーもそれぞれテイストを違えて作っていますので。
『アンクロ』はアンブレラの社史というか、公の話、事実が淡々と語られていきます。S.T.A.R.S.という組織と、アンブレラという企業の戦い。そこに、アンブレラを裏切ったウェスカーという存在がいて。ホラーの事件を、組織と組織の戦いという側面からフラットに見ているんですね。
それに対して、『ダークロ』の方は人間がゾンビなどの困難にぶつかったとき、どう生きるのかを描いています。サバイバルの中で出る人間性って、ドラマになると思うんです。生き残るっていうこと、人間としてどう立ち向かうかということを”ダークサイド”として集約しています。
『ダークロ』は、どちらかというと事件に巻き込まれた人たちの視点で見ていて。『コード:ベロニカ』の話だと、ロックフォート島に無理やり連れていかれた人々とか、『2』だとゾンビ溢れる街に来なくてはいけなかった警官と女子大生と少女の話というように、すごく一般人として身近なところをやりたかったんですね。
あとは、ゲームとしては『ダークロ』のシェイクカメラだったり、2作品の難度の違いも感じていただければと思います。何よりも、両方とも二人で遊べることを前提して作っていますので、友達や家族、カップルで楽しんでいただければと思います。

――『ダークロ』制作当時はいかがでしたか。

瀬戸:ゲームの制作ってどんどん規模が大きくなってきていて、『ダークロ』も相当大変でした。でもその後の『オペレーション・ラクーンシティ』がまた上回ってくれましたね(笑)。
『ダークロ』は自由に動き回れないので、今度は自由にラクーンシティを走り回れるところが嬉しかったですけど。
とにかく、英語が不自由なのにカナダの開発チームとのコミュニケーションが必要で、そこが大変でしたね。

――『クロニクルズ』2作品は、プレイヤーが移動に関与しないレール式ですからね。

瀬戸:『アンクロ』オリジナル版の制作時は、Wiiというハードが登場して、『バイオ』で何をやろうかとなったとき、「ガンシューティングって当たり前すぎるよね」って言っていたんです。でも、逆に当たり前すぎて、意外とほかのところでもあまり作られていなくて。じゃあ、ガンシューティングをやってみましょうと。
でも『バイオ』でやるのだったら、自分で道を進んでいくことはできないけれど、恐怖をちゃんと感じられるところまで持っていこうというテーマがありました。
ただ、『バイオ』って自分で逃げられるからホラー感があるんだよねって思うところもあったので、うまく”恐怖”を出せるのかなと……。実際やってみると、レール式のガンシューティングのカメラワークってホラーの演出に合っていて。
カメラワークが決まっていると、ここで敵がバーンと出てくるとか、一瞬影が走るなんていう演出ができます。これがFPSだとカメラが自由に動かせちゃうので、”役者”がフレームの外に控えることができないんですよね。『クロニクルズ』シリーズは、そういったカメラでの演出で、恐怖感をうまく入れられたと思います。
『アンクロ』のときは、最初かなり凝ったものを作っていたんですが、ガンシューティングらしさが薄れてしまうことも考えて、あえて抑えたところもあったんです。そこで『ダークロ』では、もっと突き詰めてやりましょうと。
テストプレイでモニターしてもらったときも、やはりカメラ演出が臨場感あっていいという人もいるけれど、嫌な人もいるかもしれないという回答をいただきましたね。それでも川田Pと話し合って、ホラー感を出すために「腹を決めよう」と。
以前から、同じハードで映像面でよりよくするにはカメラの演出を上げないとクオリティを上げられないよね、と話していたんです。『ダークロ』の目標に、”前作を遥かに超えるグラフィック”というのもあったので。ホラーの緊迫感、緊張感を出すことは『ダークロ』で一番気を遣ったところですが、カメラが動く分、当たり判定を大きくしたりしてやりやすいように作りました。
さらに言うと、『アンクロ』では、いっしょに行動するパートナーキャラクターがムービー以外では映らないんですけど、『ダークロ』ではちゃんと登場します。自分の視界にパートナーが映っていて、お尻が見えたり、こっち振り向いて合図してくれたり。やはりホラーには、演出として怖がったり警戒する人が絶対必要だと思いますね。

――お尻という単語が出ましたが……、瀬戸さんはクレアのお尻がお気に入りという噂も耳にしたのですが。

瀬戸:いや、クレアだけじゃなくて、女性のお尻はみんな気に入ってます!(笑)
カプコンでは、見えるところでなるべくキャラの魅力を出しましょうということは、皆、制作するうちに染みついていると思うんです。ゲームシステムとして後姿しか見えないのに、お尻がぺったんこだったり、見えないのに胸のほうに重点を置くよりはお尻でしょう、という考え方があると思うんです。
ちょっと語弊があるかもしれませんけど、つまり、かっこいいキャラはかっこよく、渋いキャラは渋く、というように魅力を最大限に発揮させるための手法のひとつであって、一部のディティールに偏ってこだわっているわけではないです。そのキャラらしさを出すための手段というか。
僕に限らず、カプコンのスタッフって、”差別化”をすごく意識していると思うんですよ。キャラがいっぱい登場しても、テーマカラーを丁寧に分けていたりとか。みんなキャラ被りって大嫌いなんです(笑)。『ストリートファイター2』のころから、全体的に染みわたっているのかもしれませんね。違うチームでも同じビルで開発していますから、考えが流布していくというか。「これ差別化できていないんじゃないの」っていうように、”差別化”って言葉が社内ではよく使われていますね。

――『バイオ』も印象が似通っているキャラクターというのはないように思いますが。

瀬戸:『バイオ』シリーズは、いろんな人が物語を作っているので、もしかしたら似てると感じられるキャラもいるかもしれませんが……。後から作るにつれ、被らないようにするのは大変ですね。ユーザーさんにも「○○に似てるじゃないか」って言われちゃうので、いつも意識しています。
『クロニクルズ』シリーズは、新キャラクターはあまり多くないのでよかったんですが。『オペレーション・ラクーンシティ』のメインは全員新キャラなので……。でもアンブレラ側だし、マスク着けているので絶対被らないですけど。被っているけど、カブリなし(笑)。

――なるほど!(笑) キャラクターとしては、マヌエラがお気に入りということですが……。

瀬戸:マヌエラはヒロインでありモンスターでもあって、さらにテーマに絡んでいて話を全部まとめて持って行けるように考えました。
ゲームのストーリーって、登場人物が少なくてすぐ覚えられる方が絶対いいと思うんです。ただでさえ両作品は旧キャラクターがたくさん出てきますし。そういう意味でも『クロニクルズ』シリーズの新キャラクターは減らしたんですね。『アンクロ』だったら、セルゲイ大佐に集約させています。
ゲームのシナリオって、たくさんのキャラクターが出るっていうやり方もあると思いますが、シナリオが煩雑化したり一人一人の印象度が低くなってしまうと思うんです。僕としてはキャラクターに強い個性を持たせて、一人に集約させるやり方をしていますね。

――マヌエラの父親、ハヴィエについてはいかがですか。

瀬戸:ハヴィエはかっこいいですね。本当はもうちょっと登場シーンがあったんですけど……。やっぱりやるのは”ゲーム”なので、いろいろ絞られてきちゃうんですよね。
ただ、たとえ10秒、15秒の登場でも、彼がいなければ物語に深みが出てこないので。そういう役割として、ハヴィエはイイ感じだったと思います。

――クリーチャーのV・コンプレックスは、かなりの衝撃でした。

瀬戸:デカいですよね。なんだろうな……アレの後ろに広がる空がきれいだな、と思いました(笑)。

――確かに見上げることが多いですから、背景の南米の空が映り込みますね。

瀬戸:南米を舞台にしたのは、『パブロを殺せ』というコロンビアのお話の本があって、それが衝撃的だったからなんです。ドキュメンタリーなんですけど、凶悪な犯罪組織が家族愛だったり、男女の愛だったりで動くっていうのが面白いところで。それに対してアメリカ政府が介入し、麻薬王を殺すっていう物語なんですね。そういったストーリーをオマージュして、何か作れないかなと思ったんです。
そこで、ウィルスを会社組織が扱うんではなくて、単に娘を守りたいという気持ちに突き動かされた男が、狂気の帝国を作るという話ができたらなと。
実は、『クロニクルズ』シリーズのムービーディレクターをされた権藤秀和監督に、映像部分だけを撮っていただくだけでなく、お話の中身にも参加していただいたんですね。権藤監督も、『パブロを殺せ』をおもしろいですよねっておっしゃっていて。あの世界観を出せたらいいねと、ノリノリでやっていただきました。

――そうだったんですね。ほかにも、お気に入りのエピソードやステージはありますか?

瀬戸:『アンクロ』はエイダがラクーンシティから脱出を図る”瀕死”のチャプターが好きですね。エイダに包帯を巻かせたいなという思いもあって(笑)。エイダが『バイオ2』であんなにダメージを受けて脱出したのであれば、大ケガをしているでしょうと。それなら包帯を巻くしかないと。そんなフェティシュなエイダが一人で脱出するというのがとても好きですね。
そういえば、あまり誰も気づいてくれていないみたいなので自分で言いますが、彼女が『バイオ4』で使っているフックショットは『アンクロ』の中で獲得したもので、それを機に『バイオ4』でも使うようになったという起源を描いているんですよ。

――それは初耳ですね。

瀬戸:もう『アンクロ』の前に『バイオ4』は出ていたので、逆輸入的なことになりますけど。ほかにもいろいろと作品やキャラクターのエピソードは拾っていっていますので、皆さんもぜひ見つけていただければなと思います。
それと、『アンクロ』も『ダークロ』も、ゴキブリを出すのはすごいこだわりましたね。僕、ゴキブリ大嫌いなんですよ。だからこそ絶対出したいという思いはいつもあったんです。川田Pには「アホじゃないの(笑)」って言われるんですけど(笑)。だから下水道を通るステージは気に入ってますね。
カップルで遊んでいるときに、自分としてもゴキブリは嫌いだけど、相手がキャーキャー言う中で「何とかしてやる」って頑張れるみたいな、コミュニケーションも生み出せたらなと思ったんです。

――ホラーならではのコミュニケーションですね。

瀬戸:ホラーって人が死んだり怪物が出たりするのに、なんで観るのかって考えたときに、そこに人間の隠された欲求があるんじゃないかって思うんですよね。怖いもの見たさっていうか。だから、ホントは見たいんじゃないのかなと……ゴキブリも(笑)。

――さすがに、ゴキブリを見たい人は少なそうですが……(笑)。画面にへばりついたところをナイフで倒すのは、ちょっと目を逸らしたくなりますね。苦手な人は手榴弾を投げまくるという話も聞きます。

瀬戸:そういうリアクションを期待していますから!
「これはドットの集まり、ポリゴンで動いているんだよ」って思われるよりは、「これ腐ってる! イヤやわ~」とか言われるような”肌感覚”を出したいと。ワンカメラなので特にね。だから現場で「へばりつかせて! 息ができなくなるくらいに」というような話はしていましたね。
でも、改めて言いますけど、ゴキブリは好きなわけじゃないです(笑)。嫌いなんだけど、見たくないんだけど、ゴキブリのお腹のところのヒダヒダは何個あるんだろうとか、尾毛(びもう)という突起のようなものがどのくらいの長さなのかとか……。嫌いなものだからこそ、何か見たくなるというか(笑)。そういうところが、ホラーにはあるなと思うんですよ。

――並々ならぬこだわりですね……。プレイヤーから恨めしく思われたりしませんか?}

瀬戸:そう思われたらまさに想定通りですね。出現場所に差し掛かって、「ここはもう戦線離脱するから、お願い!」みたいなやりとりがないとね。淡々と敵を倒していくだけじゃ、つまらないかなと思いますし。

――ゲームの中でも、クレアも蜘蛛が苦手というシーンが出てきましたね。

瀬戸:クレアとレオンの絡みは、特に描きたかったところです。

――エイダを疑おうとしないレオンに呆れて、クレアが「男って単純ね」なんて言う場面もありました。

瀬戸:あの辺はユーザーさんからもよかったという声をいただきました。
あんな風に、男性が気が多い一面を、女性にぴしゃりとツッコまれたりするのを見るのは楽しいですね(笑)。

――ゲームの中でも外でも、やりとりが生まれていますね。

瀬戸:そうですね。僕には弟がいて、弟夫婦に僕が作ったゲームをあげたりすることもあるんですが、奥さんから「おもしろかった」って言われることがあんまりなくって。
でも、『クロニクルズ』シリーズはすごい遊んでくれたみたいです。弟の方が銃さばきは上手いけど、奥さんの方がアクションコマンドの入力が得意で。コマンド入力のときに、奥さんが「私がやる!」って、弟のコントローラも奪って成功させたりとか(笑)。
そういう分担ができたりしますし、そのご家庭ならではの楽しみ方を見つけていただきたいですね。

――収録された『バイオ』のシリーズ作品についてはいかがですか?

瀬戸:僕はやっぱり初代『バイオ』が好きですね。
もちろん、ずっと『バイオ』をプレイしているので、それぞれの作品に思い入れがあります。

―スピンオフの作品を作る際の難しさというのはありますか?

瀬戸:難しさ……というか、スピンオフでもナンバリングタイトルのファンの人にもプレイしていただきたいし、満足してもらえるものにしたいという気持ちはあります。自分の中では、外伝として割り切って作ってはいないです。もしかしたらこんな展開もあるんじゃないかって思ってもらえるようにこだわっています。
というのも初代『バイオ』が、ホラーゲームらしくエンディングの種類が複数あるということが、好きな理由のひとつなんです。ジルやレベッカが死んじゃうクリアの仕方もある、というのがホラーらしいなと。
ホラー作品で「俺だったら全員守ってやる」とか、「このムカつくヤツは、最初にあの世行きだ」とか、もし自分が作品の中に入れたら……って考えることがあるじゃないですか。それを形にしたのが初代『バイオ』なのかなと。そこでどうやって生き残るかというのに、インタラクティブ性を感じますし。
実は、そこは『ダークロ』も無関係ではなくて。最後の場面でマヌエラの行く末が分かれるじゃないですか。あそこは意識して作っています。プレイヤーが選ぶことで描かれるストーリーは、どっちも本当だと思うし、どっちが正史というのもあまりやりたくないんです。なので、プレイヤー自身に決めてもらおうと。
初代『バイオ』に立ち返ると、いろんな結末の選び方があったなと。たとえば「もうレベッカは置いていこう。ピアノも弾けないし……」という延長で、「俺の『バイオ』のストーリーの中では、レベッカは死んだことになっているんだ」みたいなことだって、あり得るわけです。そういう幅の持たせ方というのは、僕の中で大事にしているところです。
だからマヌエラが消えてしまうエンディングがあってもいいし、逆にそれを観てから彼女を生かすエンディングを、自分の中の本当の結末としてもいいかなと。
任意に選ぶ形ではないですが、ふたつの方向に分岐するというのがやりたかったんですよね。たとえ史実でそのキャラが死ぬとしても、死なないストーリーがあってもいいんじゃないかと。それがただ死なないだけ……でなく、死ななかったらこうだよね、というカチッとした納得できるものに仕上げたいなと思っています。
たとえば、歴史上の人物なんて何回も何回も描かれているじゃないですか。織田信長は死んでいなかったとか、実は女性だったとか。そんな思い描くものをひとつの形にできるのが、クリエイターの面白さなのかなとも思っています。そういう意味でも初代『バイオ』の形はすごく好きで、それに負けないように頑張っていますが、まだまだですね(笑)。

――同じく収録作品の『バイオ2』には、ザッピングシステムがありましたね。

瀬戸:ザッピング、おもしろかったですね。『ダークロ』を作ろうというときに、『バイオ2』と『コード:ベロニカ』の話をもう一度読み直してみたんです。その2作品は、脚本家の杉村升先生のシナリオが原案になっているんですよ。それを各作品のディレクターがゲームに落とし込んでいったんですね。
杉村先生はもう他界されていて、今はそのシナリオの中でしか伺い知れませんが、先生の書いたシナリオって親と子の関係がテーマになっていると思うんですよね。シェリーとバーキン夫妻とか。
初代『バイオ』って、色恋沙汰とか人情の描写があんまりないと思うんです。S.T.A.R.S.とアンブレラというように、組織と悪との戦いというか。
杉村先生が参加された『バイオ2』は、子供であるシェリーが残されて、さらに言うと父親がモンスターになってしまうと。プレイヤーは新米警官と女子大生という一般市民に近い人間の目線で、バーキン親子の関係を垣間見ていきます。『コード:ベロニカ』も共通するところがあって。根源的に似ていると思うんです。やっぱり物書きというか、一人の人間が抱いているテーマって、変わらず同じなんだなあと思いました。
それで、この2作品をチョイスするにあたり、じゃあ『ダークロ』に入れるもうひとつの話って何なんだろうと考えたときに、”親と子の話”というのはループさせるべきだろうと思ったんです。それがマヌエラとハヴィエ親子の話に繋がっています。

――そういう背景があったんですね。『バイオ』ファンはもちろん、親子やお子さんがいる方にもぜひ物語を味わっていただきたいですね。

瀬戸:そうですね。『HDセレクション』はワイヤレスコントローラだけでもプレイできますし、友達やカップル、家族みんなで遊んでいただけるといいなと思います。部屋にいて共有できる『バイオ』だと思うので。腕前を問わずにどんな人でもプレイできると思いますし、コミュニケーションを深めていただければと。
『アンクロ』オリジナル版にはなかったランキングや、トロフィー獲得を狙ったりとやり込むこともできますから、ぜひ長く楽しんでください。

Sources


External links

Also on Fandom

Random Wiki